書籍の電子化は適法なのか
書籍をスキャンして電子化する自炊行為。 これは著作権法の複製にあたらないのでしょうか
【自炊は違法?】
個人で電子書籍を自炊することは著作権法違反にはなりません。 自分で購入した本を裁断する行為も問題になることはありません。 書籍をスキャンすることは著作権法で複製に該当するのですが、同法第30条1項が規定する「私的使用のための複製」の範囲内であれば適法とされています。 著作権法では私的複製について「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内で使用することを目的とするときは、 基本的にその使用する者が複製することができる」と、限定的にですが認められるよう定めています。 この規定から、自分の本を自分で利用するために裁断したりスキャンする行為は、私的複製の範囲内として適法であると見なされます。 そのスキャンしたデータを自分のiPadなどに取り込む行為も適法であると認められています。
【家族で共有するのは?】
スキャンしたデータを家族や数人のグループ内で共有することも適法です。 そのためのスキャンも私的複製に含まれます。 スキャンしたデータを家族のみアクセスできる自宅内のサーバーにアップロードし、家族内で共有可能にする行為も適法と見なされます。
【どうやって読む?】
電子化された書籍はPDFファイルやJPGファイルとして扱われます。 これらファイルは、パソコンやiPadなどで見ることができます。 今後も電子化された書籍を閲覧するデバイスが多く登場することが予想されています。
【企業内での自炊は?】
情報共有を目的としての、企業内での自炊行為は違法となるでしょう。 社内での資料として使うために書籍をスキャンする行為は、一般的には私的複製とは考えられてはいません。 著作権者の許諾を得ずに書籍をスキャンして社内サーバーなどで共有する行為は、複製権の侵害行為と見なされます。